アンティークカメオ シェルカメオブローチ「アリエル」

19世紀後期 イギリス 55mm×45mm

このカメオに彫刻されている女性は、シェイクスピアが書いた劇『テンペスト(あらし)』に出てくる空気の妖精・アリエルです。エアリエルともよばれます。

アリエルは、魔術師プロスペローの使い魔として作中に登場します。嵐を起こして船を難破させ、孤島に漂着させたり、幻想を見せたりする妖精です。

このカメオに描かれているアリエルは蝙蝠の背に乗っています。これはテンペストの第五章で、アリエルがプロスペローの支配から解き放たれる際に歌う歌の一節に、

『ふくろうの声を夢に聞き こうもりの背に飛び乗って 楽しく夏を追いかける 楽しく楽しく日を送る 枝もたわわな花陰で』

という歌詞があるため、それに基づいたデザインでしょう。

アリエルの顔の表情や、髪の一本一本の表現はもちろん、蝙蝠の翼や羽衣がうすく透けている質感が非常に美しく、作者の技術の高さを窺わせる作品となっています。

アンティークカメオ アメジストカメオブローチ「アフロディーテ」

1870年頃 イギリス 40mm×32mm

アフロディーテ(英語名:ヴィーナス)はギリシア神話に登場する愛と美の女神で、数々の名画、彫刻にもその名が残されています。

29個のパールがセットされたフレームが透明感のあるアメジストのカメオを囲い、上品で高貴な印象を与えています。

モチーフは横顔ではなく正面から彫られています。正面彫りは、彫師の技術力はもちろん、芸術的完成度の高さも要求されるのです。

また、正面彫りの場合、鼻が欠けてなくなっていたり、摩耗していることが多いのですが、こちらのカメオは大変良い状態を保っています。

19世紀頃、アメジストはダイヤモンド、エメラルドに匹敵するほど、大変高価なものとして扱われました。カメオが装飾品として流行するとアメジストも素材として用いられるようになりましたが、シェル等に比べて硬度が高いため彫ることが難しく、現存するものは多くありません。

アンティークカメオ シェルカメオブローチ「アテナ」

19世紀後期 イギリス 65mm×60mm

アテナとは、ギリシャ神話に登場する知恵、工芸、戦略、戦いをつかさどる女神です。オリュンポス山の山頂に住まうと伝えられる12柱の神々であるオリュンポス12神の一人でもあります。

アテナは「アイギスの盾」と呼ばれるゼウスから譲り受けた盾を持っています。アテナはこの盾に自身が怪物へと変え「英雄ペルセウス」が退治した「怪物メデューサ」の生首を埋め込んでおり、メデューサの石化の呪いで敵を石に変えることもできました。

他にも彼女の後に控える100人の兵が隠れるほど巨大な兜も装備しており、槍を武器に戦いました。このカメオには盾と槍を携えたアテナの姿が描かれています。

また、カメオを縁取る金枠も見事です。アールヌーヴォー調の曲線が複雑に絡み合い、立体感のある膨らみが雲の上のような神話の世界を思わせます。

翼の細かな細工と、衣の表現が非常に美しい作品です。

ブローチ&イヤリング 「ヒッポカンポス」

1850年頃 イタリア ブローチ:60mm×40mm イヤリング:50mm×15mm

ヒッポカンポスとは、ギリシア神話に登場する半馬半魚の海馬です。海の神であるポセイドンの乗る戦車を牽く幻獣であり、イギリスとノルウェーと間の海に棲んでいると言われています。

このブローチが作られたイタリアは、古来より珊瑚の代表的産地です。また、イタリアには優れた彫刻職人が多くいました。カメオはナポレオンがイタリア遠征から持ち帰り、自らもカメオを愛好したことにより大流行したのですが、その際にイタリアから職人を招いて宝石彫刻の学校をパリに開設させた程です。

このブローチとイヤリングは、そんな職人の技術の高さを堪能できる作品となっています。中央のブローチには幻の獣ヒッポカンポスが鱗の一枚一枚まで極めて精緻に彫刻されています。

イヤリングには小さな貝と胴の長い魚がデザインされ、こちらも微細に彫刻されています。海に棲む幻獣と生き物達を珊瑚というぴったりの素材で表現した、職人技とデザイン性が光る素晴らしい作品です。

ダイヤ付ストーンカメオ「ヴィクトリア女王」

1850年頃 イギリス

ヴィクトリア女王とは、1837年から1901年まで在位した、英国の女王です。18歳で即位し、1901年に崩御するまでの約64年の治世は英国王中最長であり、「ヴィクトリア朝」と呼ばれる大英帝国の黄金期でした。

また、宝飾品の世界においても、いまだかつてない華麗なジュエリーの数々が生み出されることになりました。

ヴィクトリアン初期はリボン結びや花、花輪などルイ十六世風のデザインが流行し、ドレスも大きく膨らみのある、装飾の多いものがモードとなりました。それに合わせてジュエリーも大ぶりのものを大量に身につけることが流行し、ダイヤモンドのネックレスやブローチが好まれました。

また、ヴィクトリア女王がカメオを愛し好んで身に着けたため、カメオの人気は高く、一八四一年に世界初の旅行会社が設立されたのをきっかけに、多くの英国人が本場であるフランスやイタリアへカメオを仕入れに出かけました。

そんな当時の気風を、この作品は見事に反映しています。英国の繁栄の象徴であるヴィクトリア女王をデザインしたカメオが中央に配され、華やかなダイヤモンドの花が周りを囲っています。

ヴィクトリアン時代を代表するような、豪華で美しい逸品です。

シェルカメオブローチ/ペンダントトップ「バッカンテ」

19世紀後期 イギリス 55mm×45mm

バッカンテとは、ギリシャ神話に登場する葡萄酒と豊穣の神、バッカスに仕えた巫女です。ギリシャへ旅するバッカスに付き従い、信仰の儀式を行った女性たちのことです。その頭には葡萄の蔦の髪飾りが冠されています。

バッカンテの姿は、ミケランジェロ、ルーベンスをはじめ、多くのルネサンスやバロックの画家が描いてきました。抑圧からの解放を表現するテーマとして、賑やかに歌い踊る美しい女性たちは魅力的だったのでしょう。

また、カメオの題材としても非常に多くの作家がバッカンテを選びました。そのほとんどが、狂女のイメージとは裏腹に、凛とした女神の横顔であることがほとんどです。

こちらの作品も同じように、巫女としての側面を映し出した美しい女性の横顔が彫られています。バッカンテの特徴である葡萄の髪飾りが大変細かく繊細に彫られ、やわらかなうねりのある髪の毛の表現と一体になって非常に美しい仕上がりです。フレームもオリジナルで、精緻な金細工やホワイトエナメルが施されています。

カメオとは

カメオとは、浮彫りにする「陽刻」の総称で、歴史は古く、紀元前からあります。

素材は、もっとも一般的な「シェル」、ブラックオニキス、サードオニキスなどの「縞メノウ」、イタリアの火山の溶岩「ラーヴァ」、象牙や珊瑚、アメジストやエメラルド、ルビー、サファイアなどさまざまです。

19世紀初めにナポレオンが国外遠征で持ち帰ってから、カメオは男性の富と権力の象徴として愛好されましたが、19世紀中頃よりヴィクトリア女王がカメオを深く愛した事から、女性の間に急速に装飾品として、カメオの需要が高まりました。

主題(モチーフ)も、古代の神々や英雄、神話の一場面から、装飾的な女性の肖像などの優美な雰囲気へと変化していきました。

西洋アンティークショップ ギャラリーキャメル

ギャラリーキャメルでは西洋アンティークを中心に、ガレ、ドーム、バカラ、マイセンなど魅力的な商品を多数扱っております。

店舗は約100年前に建てられた土蔵と茶室を転用したもので、小さな日本庭園も取り入れています。

日々の忙しい時間から開放されてアンティークの世界をお楽しみ下さい。皆様のご来店、心よりお待ち致しております。

ホームページもぜひご覧ください 西洋アンティークショップ ギャラリーキャメル